８０年代、テレビ東京はカルト時代劇の宝庫だった

（サブブログ「〜〜まであと○○日」に2010年９月23日に記述）

高校三年の頃（１９８１年）、テレビ東京では日曜の深夜に時代劇の(再)放送をしていて（他局で制作した番組の放映権を買い取って放送していた筈）、けっこう面白い番組が多かった。
１９８２年頃からは平日昼間の１時頃からも放送され、８０年代半ばには平日の深夜にも放送されるようになった。
近藤ゆたか編集の「蔵出し絶品TV時代劇」（フィルムアート社）を参考にしながら、印象に残っている作品をあげてみたい。

「唖侍・鬼一法眼」（主演・若山富三郎）[１９７３年]

・８０年代中頃から差別的表現の自主規制が激しくなったために封印扱いされた作品。８１年か８２年頃、日曜深夜にみた気がする。

「おしどり右京捕物車」（出演・中村敦夫、ジュディ・オング）[１９７４年]

・８２年頃、平日の昼間に再放送されていた気がする。この作品も自主規制によって封印扱いされているらしいが。

「斬り抜ける」（出演・近藤正臣、和泉雅子、岸田森、佐藤慶、火野正平）[１９７４年]

・これは面白かった。最初は８１年か８２年頃、日曜深夜に再放送され、その後何度も再放送された（平日の深夜など。昼間も放送されたような気がする）。
最初の頃は、一本の刀で斬れる人数は限られるというリアルっぽい設定だったのだが、後半は当初の設定を無視して一本の刀で何人も斬りまくっていたのはご愛嬌。
後半には、藤田まことが中村主水を彷彿させるキャラでゲスト出演していた（時期的には「暗闇仕留人」の頃らしい）。
火野正平のキャラは、のちの必殺シリーズでの正八・正十とほぼ同じ（火野正平が時代劇で演じる役は、服装も性格もみんな同じような気がするけど）。

「影同心」[１９７５年]

・必殺ファンの間では必殺イミテーション番組と悪口を叩かれている作品。
必殺シリーズを観ていなければそれなりに楽しめたかもしれないが、初期必殺シリーズをマンネリ・ワンパターン化した勧善懲悪時代劇にしたような作品。
だがキャラクターは魅力的だったし、後期の必殺シリーズよりは面白かった。
１作目は山口崇、渡瀬恒彦、金子信雄出演。菅井きんも出ていたし、田村高廣がお奉行役だった筈。
２作目は黒沢年男、山城新伍、浜木綿子ら。

「痛快！河内山宗俊」（主演・勝新太郎）[１９７５年]

これも面白かった記憶がある。
主演の勝新太郎の他、草笛光子、原田芳雄ら共演陣もよかった。
この作品も、日曜深夜に放送されたあと、平日の昼間にも放送されたと思った。

「夫婦旅日記・さらば浪人」（出演・藤田まこと、中村玉緒）[１９７６年]

テレビ朝日で土曜の午後再放送されていた「必殺仕置屋稼業」に熱中した半年後か１年後位に観た作品。
本放送が1976年の４月から９月とあるから、「必殺仕置屋稼業」終了後数ヵ月後の作品。
キャスティングはやっぱり「仕置屋」を意識してのものだろうか。
ダーティなピカレスクロマンだった「必殺仕置屋稼業」とはちがい、ほのぼのとした人情物だったが、こちらも見応えがあった。
藤田まこと、中村玉緒ともに「仕置屋」とはまったく別の人物像を演じ切っていてプロの役者の力量を感じさせた。
藤田まことの剣捌きも見事だった。

「お耳役秘帳」（主演・伊吹吾郎）[１９７６年]

第１話は面白かったので期待していたが、２話以降は今一つの出来だった。

「鬼平犯科帳」

８０年代半ば、平日の深夜に松本幸四郎（番組本放送当時）主演の白黒版から丹波哲郎主演のシリーズまで放送されていた。
丹波哲郎版はハードボイルドな内容で、鬼平の剣豪ぶりも堪能できて個人的には気にいっていた（ただ、原作のイメージとはかけ離れているかもしれない）。

「無用ノ介」（主演・伊吹吾郎）[１９６９年]

今回紹介したなかで一番好きだったのがこの作品。
平日の深夜、「無用ノ介・将棋・無用ノ介」の途中を偶然みたのがきっかけではまった。
賞金稼ぎを主人公にしたハードボイルドな内容でとにかく面白かった。時代劇の中では「必殺仕置屋稼業」「新必殺仕置人」の次に好きな作品。
当時、古本屋で原作の漫画も買い集めた。
２００４年頃、DVD-BOXも発売され、こちらも購入した。
当時観ることの出来なかった、「無用ノ介・将棋・無用ノ介」以前の作品を、念願かなって観ることができた。
何話かあまり面白くない作品もあったが、全体的には満足のいく内容だった。
１８年ぶり位に観たため、漫画の記憶とごっちゃになっているシーンもあった。