Political Fiction風エッセイ 保守の国・リベラルの国

Part1
20xx年x月x日 日本は保守の国とリベラルの国に分かれました。

保守の国の国民

 安倍晋三、高市早苗のコアな支持層

リベラルの国の国民

 アンチ安倍晋三、アンチ高市早苗

・安倍政権、高市政権を支持していた人でも、熱心な支持者でない人はリベラルの国を選ぶ人もそれなりにいると思われる。

保守の国のメディア

 読売新聞 産経新聞 『月刊Will』『月刊Hanada』 etc

  読売新聞と産経新聞の間で覇権争いが予想される。

  近年の影響力ではWill、Hanadaグループのほうが勢いがありそう。

リベラルの国のメディア

 朝日新聞 毎日新聞 東京新聞 『週刊金曜日』 etc

・日本経済新聞がどちらの国を選ぶかは判断できない。

保守の国の政党

 自由民主党 日本維新の会 国民民主党 参政党 保守党 N国党 etc

リベラルの国の政党

 立憲民主党 公明党 共産党 社会民主党 れいわ新選組 etc

・立憲民主党と公明党が合併するとは想像もできなかった(来年も存在しているのかしら)。

・自民党、国民民主党の政治家、支持者の中には リベラルの国を選ぶ人もそれなりにいると予想される。

・チームみらいがどちらの国を選ぶのかはよくわからない。

両国間の取り決め

両国が戦争状態に陥ることを避けるために、お互いに武力攻撃はしない。

保守の国からリベラルの国へ、リベラルの国から保守の国への国籍変更は自由に行える。

興味がある人は、2010年11月24日に公開したエッセイ「保守の国・リベラルの国」も参照してみてください。


Part2
2010年6月4日に公開したエッセイ「護憲派と保守派の再定義」で日本の政治勢力をいくつかのタイプに分類した。

A 社会主義派

 社会主義実現(天皇制廃止)。

B 共和主義派

 天皇制廃止。

C 戦後民主主義派

 象徴天皇制支持。リベラルデモクラシー支持。憲法9条改正反対。

D リベラル改憲派

 象徴天皇制支持。リベラルデモクラシー支持。憲法9条改正。

E 戦前回帰派

 天皇制支持。戦前回帰。憲法9条改正。

保守の国は、上記Eの戦前回帰派。

リベラルの国は、上記Aの社会主義派からCの戦後民主主義派から成る。

上記Dのリベラル改憲派は、保守の国を選ぶ人とリベラルの国を選ぶ人に分かれるだろう。

天皇制廃止派や憲法9条改正反対派と同じ国に住むよりは戦前回帰派と同じ国に住むことを選ぶ人は保守の国を選ぶだろう(自民党のリベラル改憲派や国民民主党はこのタイプだと思える)。

戦前回帰派と同じ国に住むよりは、リベラルの国で憲法9条改正を目指す人、天皇制廃止派と闘うことを選ぶ人はリベラルの国を選ぶだろう。

私自身は、かってはCの戦後民主主義派だったが、90年代から00年代の間にDのリベラル改憲派になった。心情的には戦後民主主義派の気持ちは理解できるけど、防衛・ 安全保障問題でもう少しリアリズムにもとづいた考えを持たないと若い世代を中心に戦前回帰派を支持する人が増えるだけなんだけどなあというのが正直な感想。

リベラル改憲派の多くが戦前回帰派と手を組んで自由民主党という大政党をつくってしまったのが戦後日本政治の問題点だと思うし、リベラル改憲派が支持できる政党が育たなかったのが戦後日本政治の問題点であるとも思う。

2010年代、長すぎた安倍政権の間に、ただでさえ少数派だったリベラル改憲派の多くが安倍政権支持となり戦前回帰派の仲間になってしまったことに溜め息しかでない。

Part3
保守の国の憲法

自民党の憲法草案、読売新聞社や産経新聞社の憲法草案を基にして憲法をつくるんだろうね。ま、自分は保守の国なんて死んでも行きたくないし、現行の憲法に改正すべきと思う箇所があったら憲法草案を丸々つくるなんて面倒なことはしないで、改正すべきと思う条項に対する改正案を出すだけだけどね。

リベラルの国の憲法

現行の条文は一言一句変更すべきでないと考えるガチガチの護憲派とリベラル改憲派の間の対立が一番の争点になることが予想される。憲法9条、自衛隊、軍事防衛安全保障の問題をどうするかは現実の日本において最大の争点になっているだけでなくリベラルの国においても最大の争点になると思われる。

憲法が改正されるとしたら、解散権は総理の専権事項とか称して、時の総理大臣が自民党が一番議席を取れそうなタイミングで適当な大義をでっちあげて解散するという、自民党の支持者でさえまともな民主主義観をもっている人なら批判する自己都合解散を阻止するためにはどうすべきかという、日本の民主主義制度をよりよくすべきための憲法改正が行なわれるだろうし、そうすべき。

・2010年頃、東浩紀を中心にして(通称)ゲンロン憲法が発表されたけど、彼らの中には戦後憲法体制に対しての不信感、違和感みたいなものがあったんだろうな。

東浩紀や三浦瑠麗のような戦前回帰派の保守(伝統派保守とでも呼ぶのかね)のことは否定するけど、一方で安倍政権を批判する左派、リベラル派を批判して左翼やリベラルから非難されているリベラル改憲派は保守の国とリベラルの国、どっちを選ぶんだろう。保守の国の住民からはアッチに行け、リベラルの国の住民からもアッチへ行けと言われるコウモリ状態になりそうよね。

ま、保守の国でもリベラルの国でもない第三の国(小都市みたいになりそうだけど)をつくったり海外に移住するという選択肢もあるだろうけど。

Part4
保守の国の政治体制

戦前回帰志向といっても明治憲法をそのまま復活させようと考えている人は極少数派のような気はする(知らんけど)。

議席制民主主義を否定して自由民主党による一党独裁制を敷くのかしら(知らんけど)。

保守の国ができても基本的には現在の議会制民主主義が維持されるのかもしれない(知らんけど)。

彼らの大嫌いな左翼やリベラルはみんなリベラルの国に行っちゃったから、現在みられる左右対立はなくなるかもしれないが、女性天皇・女系天皇容認派と反対派の対立みたいな保守・右派勢力内の対立はいくつも生じるだろうね。 

リベラルの国の政治体制

共産党の政治家やその支持者たち、マルクス主義者たちのなかで社会主義体制の実現を本気で目指している人たちがどれ位いるのかはマジにわからない。また、本気で目指している場合、国会で過半数の議席を取って合法的に社会主義化を実現させようとしているのか、武力闘争に勝利して権力を掌握した上で実現させようとしているのかもマジでわからない。前者の場合、国民の中の社会主義者の割合は現実の日本国よりも高くなるから、実現可能性は高くはなる。ただ、リベラルの国ができたとしても、社会主義体制を望む人よりも議会制民主主義制度を望む人の方が圧倒的に数は多い気がする。

武力闘争で社会主義化を目指した場合、幕末以来の内乱状態になるだろうから、内乱が生じる可能性は保守の国よりもリベラルの国の方が高いかもしれん。

社会主義者、共産主義者、マルクス主義者の武力クーデターが成功でもしない限りは議会制民主主義の政治体制が維持されるとは思う。

経済制度に関しては社会主義革命が成功しない限りは、リベラルの国も資本主義体制が維持されるはず。

Part5
天皇制

保守の国で天皇制を廃止しようとする人はいないか、いたとしても極々少数派だろう。

象徴天皇制を維持するのか、それとは別の形にするのかは不明だが、しょせん他国のことだから勝手にやってくれって話。

リベラルの国が天皇制をどうするかは、憲法9条問題と並び国論を2分する重要な問題となるだろう。

以前なにかで読んだんだが、共産党員だか共産党の政治家だかで天皇制を支持している人がいるという話を聞いたことがある。左派・リベラル派の中でも天皇制廃止派は少数派であるかもしれないからリベラルの国も象徴天皇制が支持される可能性が高いと思われる。

保守の国、リベラルの国ともに天皇制を維持しようとした場合、皇室が2つに分かれるのだろうか。その場合、保守の国の過激派が皇室を1つに戻すという大義名分を掲げてリベラルの国に戦争を仕掛けてくる可能性がある。

どんな方法で皇室を2つに分けるかが問題になるが、皇族たち一人一人がどちらの国で生活するかを選べばいいと思うのね。全員、リベラルの国を選んで誰も保守の国に行かなかったら笑っちゃうけどね。

現上皇と天皇は戦前回帰した保守の国よりはリベラルの国を選ぶような気がする、と2010年11月24日付の「保守の国・リベラルの国」にも書いたけど、もし現上皇、天皇、秋篠宮の3人がリベラルの国を選んだら秋篠宮には保守の国を選ぶように頼み込んで納得してもらうのがいいかと。

リベラルの国は女性天皇・女系天皇容認、保守の国は男系天皇維持で、この問題をめぐっての対立は解消しそう。女性天皇・女系天皇が認められることを理由にしてリベラルの国を選ぶ人がどれ位いるかはわからないけど。

もちろん、現上皇や天皇が保守の国の方を選ぶ 可能性も充分あるだろうけど。

 <オマケ>
ガチガチの右翼がこの文章をみたら、陛下や"〜〜さま"と呼べと抗議してきそう。自分は陛下、"〜〜さま"と呼びたい人はそうすればいいがそれを強制すべきではないという考えだし、いつ頃からかマスメディアで皇族に対して〜〜さまと呼ぶのが当たり前となった状況に違和感をもっているので、あえて陛下呼び、〜〜さま呼びをしていない。

しかし、こういった表現の自由もそのうちなくなりそうだとマジで諦観している。

Part6
保守の国のネトウヨ

保守の国とリベラルの国が分裂すると、保守の国のネトウヨにとってリベラルの国の国民は他国の人間になるから特定アジア4国とか言って中国、北朝鮮、韓国、リベラルの国を罵倒、非難するのだろうか。

日本の総理大臣が岸田文雄や石破茂だった頃、安倍晋三や高市早苗のコアな支持層だった人たちやネトウヨ連中が、岸田や石破をリベラル呼び(仮想敵認定)して批判、非難していたように、保守の国の中でリベラル寄りにいる政治家たちを仮想敵として罵倒、非難するのだろうか。

リベラルの国のネトウヨ

ネトウヨ連中はみんな保守の国に行ってしまうだろうから、リベラルの国でネトウヨと同じ主張をする人はいなくなるとは思う。ただネトウヨレベルの知性、人間性の人たちはいるだろうから、ネットを中心にネトウヨレベルの駄文は溢れかえりもするだろう。パヨクは左のネトウヨという悪口もよく目にしたし。

野田佳彦について

民主党政権時、民主党3人目の総理大臣になった野田佳彦だが、民主党に自民党と違う政治を行うことを期待していた人は野田に対して厳しく、自民党と同じような政治を行うことを期待していた人は好意的だったと感じた。

自分が野田佳彦を評価しなかったのは消費税増税をめぐっての対応。公約では消費税増税をしないと言っていたのに、それを覆して増税をしようとしたことよりも、消費税増税が必要だと思うのなら自民党に政権を取り返されたあと、自民党の手でさせればいいのに、それをしなかったことに対してである。

選挙をやれば自民党に政権を取り返されるのは確実なんだから、わざわざ野党転落が確実な民主党政権下で増税を決定しなくてもいい。

自民党が政権を取り返したあとで消費税増税を決定すれば、自民党の支持は落ちる可能性はあるし、そうなれば民主党が再び政権を取り返す可能性も少しは高くなる。おそらく本人は国民が嫌がる政策でも必要だと思った政策は実現するのが政治家だという立派な信念でももっていて、自分はそれをやりとげたという満足感があるのだろう。

自民党の歴代総理が支持率の低下をおそれてやりたくてもやれなかった消費税増税の決定を、民主党政権のもとで行い、消費税を増税したことに対する国民の怒りを民主党と野田佳彦本人だけが受けるという自民党に対する利敵行為を平気でおこなったことに対して怒りよりも呆れた気持ちのほうがつよい。

自民党が政権与党の座を手にいれるためには何でもやる権力亡者なのに大して、野田佳彦は民主党が再び政権を取り戻すにはどうすればいいかという知恵が全くなかった。

前原誠司と野田佳彦は、自民党が野に放っている工作員だと冗談半分で思っているが(半分は本気でもある)、消費税増税の決定をしてその後の安倍長期政権のお膳立てをして、今回は自民党単独での衆議院3分の2越えの結果をもたらした野田佳彦は、自民党の工作員としては超有能だといえる。




前原誠司と野田佳彦の2人には自民党に入って自民党を内部から崩壊させて欲しいと本気で思っていたが、自民党は権力を手にする嗅覚だけは並外れて優れているから、さすがにそんな自滅行為をする政党ではなかった。

立憲民主党に対しては野田佳彦を党の代表に選出したことに対して、あぁ人材いないんだなという感想しかなかった。

ちなみに今回の立憲民主党と公明党の合併に対しては、これで自民党の票をかなり減らせるかもしれないと期待していたのは事実。結果は真逆になってしまったけど、まぁ堕ちるところまで堕ちたらそこから這い上がるしかないよなという感想しかない。

憲法9条改正問題に関する論点

憲法9条改正問題に関する論点
1 防衛政策の基本方針の決定を憲法事案にすべきか
2 自衛隊は必要か
3 自衛隊を法的に軍隊とすることの是非
4 防衛政策の基本方針をどうすべきか

憲法9条削除論に関して
憲法9条に関連した問題で最も重要な問題提起をしたのは法哲学者の井上達夫だと思う。
井上氏の主張は憲法9条削除論として知られていて、憲法9条削除論というと憲法9条を削除して戦前のように軍隊を復活させて日本から他国に武力攻撃できるようにしようという主張と誤解されるおそれがあるが、氏の主張は軍事防衛安全保障政策の基本方針をどうするかを憲法事案にせず、法律で決めようというもののようである(私が読んだ著作にはそう記述されていた。別の著作には集団的自衛権の行使を可能にする主張として記述されている可能性もあるが)。

実際、戦後の日本では憲法が軍事防衛安全保障政策の基本方針を決定するものとしては機能していない。憲法9条があるにもかかわらずと考えるか、憲法9条があるためと考えるかは人によって判断がわかれると思うが。
戦後の日本では何度か防衛政策の基本方針が変更されてきた。最初は憲法9条はあらゆる戦争を放棄した絶対平和主義の思想をあらわすとみなされてきたが、自衛隊設立後は個別的自衛権の行使は合憲とみなされるようになった。
90年代、湾岸戦争後、自衛隊の海外派遣が行なわれるようになった。2010年代、安倍政権のもとで集団的自衛権が部分的にではあるが解禁されるようになった。
その度に憲法論議はなされたが、結局、憲法改正は行なわれず、憲法解釈の変更あるいは解釈改憲という形で防衛政策の基本方針が変更されてきた。
もし、憲法を防衛政策の基本方針を決定するものとして機能させるのなら、何らかの方法で基本方針を決定しそれを憲法に明記させておくべきである。そして基本方針を変更する時は、憲法改正の手続きを行い、改正された時のみ方針変更を行うべきである。

防衛政策の基本方針
1 武力攻撃容認主義 日本から他国に戦争を仕掛けることを可能とするもの
2 海外紛争介入主義 海外でおきた戦争・紛争に集団的自衛権の行使、集団安全保障に参加という形で介入できるようにするもの
3 非武力行使型海外紛争介入主義 海外でおきた戦争・紛争に介入するが、武力行使は行なわないというもの
4 一国平和主義 他国から武力攻撃を受けた時のみ個別的自衛隊を行使し、海外の戦争・紛争には介入しないというもの
5 絶対平和主義 あらゆる戦争を放棄し、他国から武力攻撃を受けても戦争しないというもの

敗戦後 絶対平和主義
自衛隊設立後 一国平和主義
湾岸戦争後 非武力行使型海外紛争介入主義
2010年代 非武力行使型海外紛争介入主義のもと、集団的自衛権を部分的に解禁

憲法改正論議に関して
憲法9条改正を議論する際には、まず防衛政策の基本方針をどうするかを憲法事案にするかしないかを明確にしてからでないと不毛な論争になる可能性がある。
護憲派は、防衛政策の基本方針を憲法事案にしたいのなら現在のようなどのようにも解釈できてしまう条文ではなく、基本方針を明確にした条文に変えるか、基本方針を明記した条項を追加すべきだろう。
多くの護憲派は条文の改正を阻止するだけで、防衛政策の基本方針が変更されるのを阻止できなかった。条文さえ改正されなければそれでいいのかもう一度考えた直したほうがいいと思うのだが。
一方改憲派の多くは、憲法解釈の変更で部分的ではあるが集団的自衛権の行使まで持ち込めたのだから、今さら防衛政策の基本方針を憲法事案にしようとは思わないと予想できる。
改憲派の次の目標は、自衛隊を法的に軍隊として集団的自衛権のフルスペックでの解禁だろう。
改憲派は、武力攻撃容認主義派と海外紛争介入主義派に分かれるが、武力攻撃容認主義に反対するのならどのようにして日本から戦争を仕掛ける行為を防げるかを考えたほうがいいだろう。
この問題を憲法事案にして、憲法に明記するのでないのなら法律で対処するのか(自分は法律の知識がないので日本から戦争を仕掛ける行為を禁止できるような法律が制定できるのか知らない)。
総理大臣指名選挙を行なう際は、候補者にどのような基本方針をとるのかを事前に表明することを慣習化して、戦争を起こしかねない候補者は総理大臣に就任できないようにするとか。

自衛隊は必要か
防衛政策の基本方針を憲法事案にすべきかについて論じたあとは自衛隊が必要か不要かだが、これについては政治的には決着はついている。
自衛隊を廃棄すべきと主張する人は数の上でも少数派だし政治的にも影響力はほとんどないだろう。護憲派を自任する人、護憲派と呼ばれている人の間でも自衛隊を廃棄しようと主張する人は少数派だろう。自衛隊廃棄派が国会で過半数の議席をとって合法的に自衛隊が廃棄されるということは、少なくとも今後20年間位の短期スパンでみればないだろう。
自衛隊廃棄を目標として武力クーデターをおこすなんてことを考えている人がいたら頭がおかしいと言われても仕方ないし、実際にもいないだろう。
今後、日本が道義的にも国際法的にも正当性のない戦争を行い敗戦したら、自衛隊あるいは軍隊を放棄しようと考える人が多数派となる可能性もなくはないが……。
またこの先、国際連邦軍とかができて日本の自衛隊がその一機関となるなんてことも思想レベルでは考えられるが、今後、50年位の間にそうなる可能性は極めて低いだろう。

自衛隊を法的に軍隊とすることの是非
国論を真っ二つにする最大の争点は、自衛隊を法的に軍隊とすることの是非についてだろう。
護憲派で自衛隊が必要だと考えている人の中でも自衛隊を法的に軍隊にすることに賛成する人はほとんどいないだろう。というよりも自衛隊を法的に軍隊とすることに賛成する人を護憲派とは言わないだろう。
自衛隊が合憲だと解釈できたのも、自衛隊が法的には軍隊とされていないからだろう。
ただ、この論点を議論する時は、防衛政策の基本方針をどうするかも同時に議論したほうが議論は実りのあるものになるだろう。
例えば、防衛政策の基本方針が"一国平和主義" ならば自衛隊を軍隊にしてもいい、だが基本方針が"海外紛争介入主義"なら軍隊にすることに反対だという人もいるかもしれない。
私自身は、個別的自衛権を行使する軍事力を保有することを最低限の国民の合意事項にした上で、自衛隊の役割を個別的自衛権の行使に限定するか(一国平和主義)、海外への派兵を可能にするか(海外紛争介入主義・武力攻撃容認主義)を議論すべきと考えている。
実際には、自衛隊を法的に軍隊とすることに反対する人が多くいるので、防衛政策の基本方針をどうするかをめぐって国民的な議論をするという土壌はなかなか根付かないように思える。

自衛隊を軍隊にすることのメリット・デメリット
自衛隊が法的に軍隊とされていない現在の状況はポジティブリストといって、やっていいことのみが法できめられているらしい。
一方、自衛隊が法的に軍隊となるとネガティブリストといって、やってはいけない行為のみが法で規制されるらしい。
自衛隊が外国の軍隊と闘う事態を想定すれば、ネガティブリストにもとづいて行動したほうが勝利する可能性が高くなるし、自衛隊員が戦死するリスクも下がるだろう。
一方、デメリットは法的に軍隊とすることによって、戦前のように暴走する危険性が高まることが予想される。
他にも専門的知識のある人にメリットとデメリットの両方を示してもらい、国民がどちらが良い選択かを判断できるようにしたほうがいいだろう。

私自身は、仮に"一国平和主義"の方針をとって自衛隊が海外にでていかなくても、外国が日本に武力攻撃を仕掛けてきて、自衛隊員がそれに応戦するケースもありうるのだから、法的に軍隊としたほうがよいと考える。

90年代に自衛隊の海外派遣を可能にし、2010年代に集団的自衛権の部分的行使を可能にする法が制定された。私からすれば自衛隊が法的に軍隊となっていない状態で自衛隊を海外に派遣したり、集団的自衛権を行使しようとする行為は、憲法を無視しているからだけでなく、自衛隊員の生命を軽視している点でとうてい容認できるものではない。
政府にとってはアメリカからの要求に応じず対米関係が悪化することをおそれたために、自衛隊が法的に軍隊となっていない状態で自衛隊を海外に派遣したり集団的自衛権の行使を性急に成立させようとしたのだろう。
自民党の政治家たちにとっては、対米関係が悪化すれば自分たちが与党でいられなくなる可能性が高いから、自衛隊員の生命を軽視してでもアメリカの要求に応じることを優先したともいえる。
ただ対米関係の悪化が国民生活に大きなマイナスをもたらすことは十分に考えられるから、防衛政策をどうするかは対米関係がどうなるかどうするかも合わせて考える必要はあるだろう。

防衛政策の基本方針の決定を憲法事案とすべきか
このテーマに関しては、私は明確な考えを持っていない。ただ、憲法事案にするのなら憲法96条も同時に改正すべきと考える。現在のように憲法改正の発議自体がハードルが高いと、政府が基本方針の変更が必要だと考えた時に改正の発議すらできないのならと憲法を無視する危険性が高まるからである。国会議員の過半数の賛成で発議できるようにしようという意見をよく目にするが、これだと改正の発議が簡単にできてしまいすぎるので5分の3がよいと考えている。

◯防衛政策の基本方針に関して
自衛隊を法的に軍隊とするべきかについては、"一国平和主義"の方針をとった時でも軍隊にしておいたほうがいいと考える。ただ、想定されるデメリットへの対処方も十分に検討はしたほうがいい。
自衛隊を軍隊とすることに反対する人が多いなら対話や討論を通じて納得してもらう努力は続けるべきだろう。
日本人は異なる考えをもつ人たちが議論を通じて合意案を形成することが苦手なようにみえる。特に憲法9条問題に関しては護憲派・改憲派双方がお互いに自分の考えを一方的にまくし立て、場合によっては罵りあうだけである。最終的には国民投票で決定するなど、護憲派・改憲派双方が納得できるルールを決めた上で徹底的な議論や対話を通じた上で基本方針を決定すべきだろう。

防衛政策の基本方針再掲
1 武力攻撃容認主義
・ 政府が必要と判断すれば日本から他国を武力攻撃すること(戦争すること)も可能とする
2 海外紛争介入主義
・日本から不当な武力攻撃は仕掛けない
・海外でおきた紛争には介入できるようにする
A 集団的自衛権の行使・集団安全保障への参加両方行えるか、どちらか一方だけを行うか
B 何の条件も設けず政府の判断次第で介入できるか、何らかの条件を設けるか(アメリカからの要求にはすべて応じられるようにする。一定の条件を満たした場合のみ行える。など)
3 非武力行使型海外紛争介入主義
・武力行使を伴わない形で海外の紛争に介入する
4 一国平和主義
・外国が日本に武力攻撃を仕掛けてきた場合のみこれに応戦して、海外の紛争には介入しない
5 絶対平和主義
・個別的自衛権の行使すら放棄する

集団的自衛権行使のメリット・デメリット
メリットは日本が武力攻撃を受けた際に協力してもらい、敵を撃退する可能性が高くなること。
デメリットは同盟国の行う戦争に参加した場合、それによって日本が武力攻撃される危険性が高まること。
他にも専門知識のある人たちに集団的自衛権を行使することのメリット・デメリット、しない場合のメリット・デメリットを示してもらい、どちらが良い選択であるかを国民が判断できるようにするのが望ましいと思える。

個人的見解
1の武力攻撃容認主義と5の絶対平和主義には反対する。現在は3の非武力行使型海外紛争介入主義をとっているが、これにも反対する。自衛隊を海外に派遣したいのなら法的に軍隊とした上で派兵すべき。後方支援のみを行い、直接戦闘に参加しなくても、死亡する危険性を極力排除した上で派遣すべき。自衛隊を法的に軍隊とできないのなら4の一国平和主義に戻るべき。
すでに武力行使を伴わない形だが集団的自衛権を部分的に行使できる方針に転換しているから、これを"一国平和主義"に戻すことはかなり難しいと予想される。
これから自衛隊を法的に軍隊とし、2の武力攻撃容認主義に基本方針が変更されるのなら、次の方向で変更されるのを望む。

◯日本が海外の紛争に介入できる要件
国際法に違反した道義的にも正当性のない軍事行為を行った国や勢力に対してのみ闘えることとする。
アメリカが行う軍事行動が国際法に違反したり道義的に正当性のない場合は協力しない。

武力攻撃容認主義を阻止する方法
護憲派の人がよく口にする「日本を戦争のできる国にするな」というスローガンは、1の武力攻撃容認主義に反対するスローガンへと変更したほうがいいと思う。
護憲派の人は2の海外紛争介入主義に反対する人が多いと予想できるが、海外紛争介入主義者を1の武力攻撃容認主義者と同様に見なしても会話が噛み合わないだけである。海外紛争介入主義者の中には、無法状態といえる国際政治の世界を法による秩序にもとづいた世界にしたいという理想主義的な立場からこれに賛成する人もいる。
戦争賛成か戦争反対かといった形で改憲派と論争しても不毛な対立が続くだけだろう。
武力攻撃容認主義を阻止するには次の方法が考えられる。
1 防衛政策の基本方針の決定方法を憲法事案とする。憲法に日本から他国に不当な武力攻撃をしない条項をいれるか、海外紛争介入主義にもとづいた条文にする。
2 日本から他国に不当な武力攻撃をしない規程のようなものを制定し、総理大臣指名選挙の時にその規程を守る意思があるかを確認した上で投票するようにする。
など。

そして歴史は繰り返す


1931年におきた満州事変以降、大日本帝国が自滅の道をつきすすんだように、2011年におきた福島原発事故以降の日本もじわじわと自滅の道を歩んでいるような気がしたが......。

 「明治維新/敗戦」? or 「黒船来航/満州事変」?
 2025年に日本近現代史第2の底が?
 3つの危機

満州事変の6年後の1937年、日中戦争がおこったように、福島原発事故の6年後の2017年、日中戦争に匹敵するような大きな事件がおきるのではないかと懸念していたが、去年はとりあえずそのような大事件はおきず、良い意味で予想は外れたと思ったが、最近発覚した公文書改ざん事件は、もしかしたら日中戦争に匹敵するような、日本を破滅に導いた大事件として、後世語られるかもしれない。

現在の日本は、政治のみならず行政や司法も内部は腐りきっている、そのことが目にみえる形で表にあらわれた大事件であろう。

総理大臣の衆議院解散権に関する試案

衆議院の解散権に関する案
1 内閣不信任案が可決したときは、衆議院の解散か内閣の総辞職をおこなう。(現行の制度でいい)
2 衆議院の任期満了が6か月以内になったらいつでも解散できる。
  (期間は3か月以内、または1年以内、9か月以内など検討の余地あり)
3 内閣不信任案は否決されたが、不信任賛成票が3分の1以上(あるいは5分の2以上)あった場合は、3か月以内に解散して有権者に信を問うことができる。


・上記以外での解散は解散権の濫用とみなし、解散した総理大臣は解散後4年間、再度総理に就任することができない。


2005年の郵政選挙のように、単一の争点について国民に信を問いたい場合は、衆議院の解散総選挙ではなく、国民投票をおこなう。

不毛な戦い


憲法や民主主義的な手続きを無視し続けた第二次以降の安倍政権。


経済や安全保障政策について説得力のある政策提言をおこなえなかったアンチ安倍派の野党。


憲法や民主主義的な手続きを重視する人は、自民党の議席が1つでも多く減ることを望んだろうが


憲法や民主主義的な手続きよりも経済や安全保障を重視し、かつ自民党の経済政策、安全保障政策を肯定的に評価していた人は自民党に投票しただろう。


安倍政権が、憲法や民主主義的な手続きを遵守したうえで、やりたい政策を押し出していたのなら、経済政策や安全保障政策に関してもっとましな議論が国会でもメディア上でも(もしかしたらネット上でも?。それは無理か?)繰り広げられたかもしれない。


安倍政権が憲法や民主主義的な手続きを軽視しすぎたために、アンチ安倍派は安倍批判、アベ叩きのみを繰り返し、


一方、安倍シンパは、安倍政権が憲法や民主主義的な手続きを軽視していることはスルーしながら(もしかしたら彼らの頭のなかでは、安倍政権は憲法や民主主義的な手続きを充分に尊重していると映っているのか?。まさか。)、野党が政策論議をおこなわない(おこなえない?)とアンチ安倍派を逆に非難する。


野党が多くの国民に対して説得力のある魅力的な政策提言ができなければ、安倍晋三や自民党が憲法や民主主義的な手続きを無視しても選挙で大勝するという不毛な状況を改善することはできない。