死刑制度を論じる際の若干の注意点

死刑制度については、死刑制度を廃止すべきか存置すべきかで語られる場合が多い。
だが、この問題を論じる際は、極刑をどうすべきかも含めて論じないと、実りのある成果は望めない。


死刑制度廃止論者は、大別すると3種類にわけられる。
1・死刑制度を廃止して、終身刑を極刑にすべきと考えている人
2・死刑制度を廃止して、無期懲役を極刑にすべきと考えている人。
3・死刑制度を廃止して、終身刑無期懲役以外の刑を極刑にすべきと考えている人。
 3つめの場合、極刑を無期懲役よりも重い形にしようと考える人(懲役50年以上など、実質的に終身刑に近い形)と、無期懲役よりも軽い形にしようと考える人に分けられる。
抽象的にいえば、次のようになる。
1・終身刑を極刑にすべき
2・終身刑以下、無期懲役以上の極刑を設定すべき
3・無期懲役を極刑にすべき
4・無期懲役以下の極刑を設定すべき


終身刑は死刑以上に残酷な刑罰だ、という主張もあるから、終身刑派と終身刑反対派の間で生じる確執は、死刑存置派と死刑反対派の間で生じる対立よりも根深いものになる可能性もある。


死刑制度についての個人的な考えはここでは述べないが、死刑制度が廃止されないのなら、裁判で極刑判決がくだされた場合、死刑か終身刑かを囚人が選べるという制度を半分以上は本気で考えている。
死刑になる位なら、刑務所の中ででも生きていたいと思う人は終身刑を選べばいいし、一生刑務所の中で生きていく位なら、死んだ方がましだと思う人は死刑を選べばいいと考える。
まあ、このような主張は一般には受け入れられないだろうし、特に死刑制度にも終身刑制度にも反対している人は、この意見に対しても強烈な批判を寄せるだろうと想像できる。
ただ、無期懲役を極刑にすべきという主張は、死刑制度廃止以上に受け入れられないのではないかとも考えるが。