極個人的経験 若いこだまの思い出

同じような経験をした人は極少数にすぎないかもしれないが、ラジオ番組に関する思い出なので何人かは共通体験をしているかもしれない。
もう30年以上も前、中学1年生(1976年)の時の思い出である。
当時、角川書店の仕掛けたメディアミックス戦略で横溝正史ブームがおこっていた。私もそのブームに乗っていて、文庫本を買ったり、映画「犬神家の一族」を見に行ったりしていた。
夏休みのことであるが、NHKラジオで1週間にわたり「悪魔の手毬唄」のラジオドラマを放送していた。当時親に買ってもらったばかりのラジカセをセットし、第1回の放送を聞き終わった私は、そのままラジオをつけたまま宿題をやっていた。しばらくすると、ラジオからギターをかきならしながら絶叫するような歌声が聞こえてきた。私はてっきりコミックソングだと思い、面白いなと思いながら聴き続けていた。
曲が終わると、東北訛りのDJの話し声が聞こえてきた。それが友川かずきで、私がコミックソングだと思って聴いていた曲が(一部では有名な)あの「生きてるっていってみろ」だった。
その番組は、当時友川がレギュラーでDJをしていた「若いこだま」の夏休み特番で、1週間にわたり日本のフォークシンガーの特集をすると言っていた。1日目は、友川自身の曲が放送された。番組でかかった曲が何だったか正確には覚えていないが、(当時発売されたばかりの2ndアルバム「肉声」に収録されていた)「あめらんくゆらん」他数曲が、そしてエンディングに「歩道橋」が放送されたはずである。
番組を聞き終わったときには、この初めて知ったフォーク歌手にすっかり魅了され、早速レコード屋でアルバム「肉声」を購入し、毎週月曜日にレギュラー放送していた友川司会の「若いこだま」も、友川が降板するまでかかさず聞き続けていた。
これが私の、初めての音楽経験であり、人生で一番大きな影響を受けた出来事の思い出である。

肉声(紙ジャケット仕様)

肉声(紙ジャケット仕様)

友川かずきDJ「若いこだま」放送曲目リスト
 2010年8月17日 放送曲目リスト1 から
 2010年8月30日 放送曲目リスト14 まで
 2010年8月31日 放送曲目リスト 1977年4月 から
 2010年9月8日 放送曲目リスト 1978年1月−3月 まで

若いこだまの思い出2

「極個人的経験 若いこだまの思い出」の続き

中一の夏休みに聞いたNHKラジオ「若いこだま」の特番。月曜日は友川かずき、火曜日は豊田勇造、水曜日はなぎらけんいち、木曜日は魔世中しんや、金曜日は三浦久、土曜日は古川壬生が特集されていた(たしか、特番のタイトルは「土塊(つちくれ)の歌」だったような?)。
ラジオドラマ「悪魔の手毬唄」をラジカセに録音したついでに、これらの放送もいくつかは録音していた。

豊田勇造

1曲目−「桜吹雪」という曲がかかっていたのだが、前日の友川かずきの強烈なイメージとあまりにもちがいすぎ、また当時はソフトな歌はあまり好きでなかったので1曲目の途中で聞くのをやめてしまった。だが、その後、友川司会の「若いこだま」で「ケーブルカーが着いており返すあたり」という曲がかかり、これがお気に入りとなり、「桜吹雪」も好きな曲となった。
中二か中三の時には、夜11時代のテレビで「ジェフ・ベックが来なかった雨の円山音楽堂」を、高校時代はやはり深夜テレビで「殺そうと思っただけでよかったのに」という曲を聞いたことがあった。
ちなみに、4、5年前新宿のディスクユニオンで偶然、CD「さあ、もういっぺん」「走れアルマジロ」を見かけて、すぐ購入した。

なぎらけんいち

なぎらけんいちを初めて知ったのがこの番組だったのか、正確なことは覚えていない。
番組は、スタジオになぎらがゲストとして招かれ、友川とのトークを交えながら進行していった(筈)。
曲は、当時発売されたばかりのアルバム「さすらいのばくち打ち」の収録曲「ぐち」「遺言」「流れ者に捧げる詩」が放送されたはずである。
この「さすらいのばくち打ち」は当時購入し、今も手元にある。
5、6年前秋葉原石丸電気でCDを見かけたがその時は買わず、購入しようと再び訪れた時には既に売れてしまっていた。
2枚組のライヴアルバム「永遠の絆」も買おう買おうと思っているうちに廃盤になってしまったアルバムだ。1991年頃CD化された際も、買おうと思っているうちに入手困難になってしまった。
そういえば、「若いこだま」の特番のあと、TBSテレビ「銀座NOW」で友川かずきとなぎらけんいちのミニコンサートが放送されたこともあった。なぎらが、「友川5曲(4曲?)で俺2曲」(演奏する曲の数のこと。友川は「電話」という超短い曲も演奏)と言って笑いをとっていたのが印象に残っている。(続く) 

さすらいのばくち打ち

さすらいのばくち打ち

永遠の絆

永遠の絆

友川かずきDJ「若いこだま」放送曲目リスト
 2010年8月17日 放送曲目リスト1 から
 2010年8月30日 放送曲目リスト14 まで
 2010年8月31日 放送曲目リスト 1977年4月 から
 2010年9月8日 放送曲目リスト 1978年1月−3月 まで

若いこだまの思い出2 続き

魔世中しんや

1曲目「わったあ島ウチナア」、本人が電話出演、友川との会話(インタヴュー)、2曲目「アカハナ」、ラスト3曲目「人はひやさっさと生きていくのです」。
電話での会話が長時間続いたため、曲は少なかった。個人的には1曲目の「わったあ島ウチナア」と最後にかかった曲が大好きだった。
この人については情報が少なく(沖縄フォーク村の重要人物だったということは、番組でふれられていたが)、この後名前を聞くこともほとんどなかった(番組の中の会話で公務員か会社員をやりながら音楽活動を続けていると言っていたので、この後メジャーな活動はしなかったのだろう)。
5、6年前、この人の曲がCDで聞けないかと思い、インターネットカフェで情報収集をしたところ(先月パソコンを買うまで、自宅にインターネット環境がなかったため)、「唄の市 沖縄フォーク村」というオムニバスアルバムの中に「わったあ島ウチナア」が収録されていることを知る。2005年に紙ジャケで再発された際、購入。だが、私がカセットに録音していた曲と微妙にちがう。アレンジはほとんど同じなのだが、グルーヴ感が足りない。ラジオで放送した曲は、「唄の市」収録曲とは別バージョンらしい。
今回、ネット検索したところ、「うりずんの島」というアルバムを発表していたことを知る。多分、3曲ともそのアルバムから放送したのだろう。

三浦久

京都で大学の教師をしながら音楽活動を続けていると紹介されていた。
放送曲−「五年ぶりに会った友に捧げる歌」「どっちでもよいのです」「紙ヒコーキ」「父よ」「詩集」。
「五年ぶりに会った友に捧げる歌」「どっちでもよいのです」が大のお気に入りで、「詩集」がその次に好きな曲だった。
この人のアルバムは、近郊都市のレコード屋でみかけたのだが、中学生でお金がなかったため、購入はせず。今思えば、買っておけばよかった。
この人はホームページを開設しているので、情報入手可能です(豊田勇造もサイトあり)。放送した曲の収録アルバムを調べたところ、「父よ」のみ不明、その他の曲は「漂白の友」(1976年発売)というアルバムに収録されている(ただし、現在入手困難)。

古川壬生

青森在住。友川が、特番で一番かけたかった歌手といっていた。友川以上の迫力あり。レコード会社からの依頼を、皆断っていたそうである。
放送曲−「おど」他数曲(タイトルがよく聞きとれず。1曲は「津軽ねんごろ節」?)。
高校時代、音楽雑誌で記事をみたおぼろげな記憶がある。
今回、ネットで記事をみつけ、1978年に自主製作のアルバムを1枚出していたことを知る。
友川は「フルカワ」ではなく「コガワミブ」と紹介していたが、どちらの読みが正しいのかは不明。 −この項目終了


[追記]2011年12月1日
番組でかかった曲は「十三の砂山(とさの砂山)」「津軽ねんころ節」「おとう」の3曲。

友川かずきDJ「若いこだま」放送曲目リスト
 2010年8月17日 放送曲目リスト1 から
 2010年8月30日 放送曲目リスト14 まで
 2010年8月31日 放送曲目リスト 1977年4月 から
 2010年9月8日 放送曲目リスト 1978年1月−3月 まで