「アストロ球団」と「スラムダンク」の共通点

アストロ球団」と「スラムダンク」の共通点といっても、「週刊少年ジャンプ」に長期連載された人気漫画という位しかないのが一般的な認識だろう。
両方ともスポーツ漫画ではあるが(野球とバスケのちがいはあるが)、作品の内容はまったくことなっているし、影響も感じられない。
だが、「スラムダンク」の終盤(当時はもうすぐ連載終了するのではないかという予感と、もっと多くのチームとの試合をみたいという気持ちをもちながら読んでいたような気がする)に感じたのは、「アストロ球団」と似ているな、ということだった。
1つめは、1試合の描写が長いという点。最低でも連載10回分位、1試合に20週位かけるのは普通だった。特に、最後の試合は1年以上の長期にわたって描かれていた。
2つめは、1つめの共通点にも関係するが、連載期間の長さに比べると主要試合が少なかった。
アストロ球団」はブラック球団、ロッテ、ビクトリー戦と、主要試合は3つしかなかった。
スラムダンク」はそれと比較すれば多いといえるが(陵南との練習試合、翔陽、海南大附属、陵南、豊玉、山王工業戦)、「ドカベン」などと比べると、1つの試合を時間をかけてじっくりと描写しているといえる。
3つめは、将来の対戦を匂わせるライバルを登場させながら、対戦をチャラにしてしまった点。
アストロ球団」は知念、新魔球を完成させた無七志との対戦を予感させながら、それは描かれなかった。
スラムダンク」は、名朋工業の森重寛との対戦が描かれないまま終了してしまった。
4つめは、連載続行を願うファンの希望を無視して、あっさりと連載が終了してしまった点。
アストロ球団」は、ビクトリー戦のあと、巨人戦、大リーグとの対戦が予想されたが、予定調和を崩すようにして連載が終了した。
アストロ球団」の連載終了は、人気が落ちたために打ち切りになったのか、作者側の意向によるのかが気になる。作者のインタビュー記事でそのことに触れていたような気がするが、忘れてしまった。
当時小学生だった自分は、ビクトリー球団との試合が長引きすぎたために飽きてしまい、途中で読むのをやめてしまった。だから、打ち切りになったと思い込んでいた。
この作品を最後まで読んだのは、昭和61年から62年にかけてワイド版として再発売されたときだった。


スラムダンク」の終盤の構想は、全国大会の組み合わせ表を発表した段階(199話)で、既に決定されていたのだろうか。
あとから振り返ってみれば、あの組み合わせ表は最後までのシナリオを構想した上で発表したとしか考えられない。
山王工業、愛和学院に勝ったとしても、準決勝で海南大附属と再対決するのは不自然だろう。
もし、山王、愛和に勝つ設定にしていたのなら、準決勝の相手は大阪の大栄学園だろう。
それ以前に、湘北がトーナメントに勝ち続ける設定にしたのなら、二回戦で山王工業、三回戦で愛和学院という組み合わせにはならなかっただろう。
ファンとしては、あのメンバーで全国の強豪と戦う試合をもっとみたかったが、結果的には最後まで緊張感を保ったまま作品を終了させられたから、一番いいストーリー展開だったのかもしれない。


アストロ球団 (第1巻)

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